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UNIPULSE TOPコラム 「重さを量る」 > たわむスプーン
コラム
重さを量る

第1回:たわむスプーン
 スプーンの柄を持って先端にごく少量の砂糖を載せる。「スプーンがたわむ」といったら、「そんな、おおげさな」と思われるかもしれない。しかし、砂糖がわずか0.1gであっても、そのたわみをたやすく検出する方法があるのだ。

 金属線を埋め込んだテープのようなものを張り付けておけば、たわみによる伸び縮みに応じて金属線の電気抵抗が変わるからだ。このテープはストレインゲージと呼ばれる。

 第二次世界大戦中に、米軍で軍用機の機体強度を調べるために開発された。翼のたわみなら目に見えるし、抵抗値の変化は当時の真空管を使った増幅器で検出できた。だが、スプーンとなるとそう簡単ではない。変化が微小だと、抵抗値の変化も当然微少だ。温度による変化も無視できなくなる。私たちはこれらの問題と闘って克服し、新しいタイプの直流増幅器を開発した。

 通常のバネ秤(ばかり)でも、バネの金属がたわむ量を使って重さを測定しているのだが、直流増幅器の実用化によって、非常に軽いものでもたわみから正確に計ることができるようになった。

 ストレインゲージの原理自体は簡単でつまらないものであるが、精密化することによって、スプーンもコンニャクのようにぐにゃぐにゃに見えるようになったのである。

1998年(平成10年)1月7日 水曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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