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コラム
重さを量る

第2回: 支点なし
 薬の量などを正確に量るときによく使われるのが上皿天秤(てんびん)だ。天秤の真ん中に支点があって、ヤジロベエのようにバランスが取れるようにしてあると誤解している人が多いようだ。支点があるなら、上皿のどこに分銅を載せるかによって、天秤にかかるモーメントが変わってしまう。支点がないから、どこに載せても正確に量れるのだ。

 その秘密は「ロバーバル機構」といわれるものにある。まず、長方形を考えてほしい。力を受けると四隅の角度がその力の大きさに応じて変わるとする。二本の縦軸が鉛直になるようにセットしておいて、左右の縦軸に異なった荷重をかける。長方形はゆがんで平行四辺形になる。両者の荷重が同じなら長方形のままだ。この場合、上皿天秤では二つの上皿の高さが同じで、釣り合っていることになる。これなら回転モーメントは無関係になる。だから、縦軸に固定されている上皿の上ならどの位置に分銅を載せてもよい。

 最近の重量計はほとんどがこの原理を使っている。硬い金属の長方形の枠、専門用語で起歪体(きわいたい)の縦軸の片方を固定し、他方に荷重をかけて、長方形のゆがみ量で重さを割り出している。ゆがみを電気的に量るストレインゲージと組み合わせて、ロードセルと呼ばれている。

1998年(平成10年)1月9日 金曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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