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コラム
重さを量る

第5回:回ると変わる
 清涼飲料など液体製品の製造現場では、たいてい回転するターンテーブル上で移動している容器にそそぎ入れる。このときに重量を量ろうとすると、実際よりも値が軽く出てしまう。

 重量は鉛直方向の力によって生じる金属のひずみ量で量るのだが、水平方向の遠心力がこのひずみを打ち消すように働くからだ。そこで、回転数から角速度を出し、水平方向の加速度を割り出して補正している。重力と力は等価だというアインシュタインの洞察を日々体験しているといってはおおげさかもしれない。

 これとは反対に回転しているから、値が大きく出るものもある。

 トラックの過積載が問題になったころ、監視用に走行中の重量を量る装置の注文があった。道路の傷みは車全体の重量ではなく、一本ごとの車軸の荷重に関係する。トラックではタンデムといって後輪が二軸になっているものが多い。そこで二本の軸が同時に載らないように、幅70cmの計量板を作って実験してみた。

 この板を通過する間を一万分の一秒間隔に区切って重さを量ってみた。載った瞬間が最大の荷重で、次第に下がることがわかった。タイヤが回転し、接地部分がひずんでいるので、最初はひずみが板をたたく力が加わるのだ。最初の値は捨て、安定状態の荷重を表示することで解決できた。

1998年(平成10年)1月16日 金曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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