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コラム
重さを量る

第7回:重量挙げ
 あるテレビ番組から相談があった。重量挙げのスナッチで、バーベルを頭上に持ち上げる瞬間に、選手が宙を飛ぶので、その証拠を捕まえたいというのだ。そこで、選手の演技をテレビ側が高速カメラで撮影し、私たちが選手を載せた重量センサで測定した。

 カメラは宙に浮いた映像をとらえられなかった。しかし、重量センサの方はかかる荷重がゼロになる瞬間を記録していた。おそらく、つま先は地上に接したままだったのだろう。

 スナッチでは、前かがみになってバーベルをつかみ、一気に頭上に差し上げる。動きを細かくみると、まずバーをぐいと引き上げる。バーは山形にしなる。そのまま力まかせに持ち上げるのではない。山形のバーが反動で谷型にしなり出して、しなりの力が両端の重りを跳ね上げる。選手はその瞬間にジャンプしてバーの下に潜り込むのである。

 このテレビ番組の時は、一千万分の一秒間隔で測定していた。このように短い時間間隔で測定するのを私たちはサンプリングと呼んでいる。コンピュータの進歩でこの間隔がどんどん縮まっている。ついこの前までは百万分の一秒ぐらいがせいぜいだったのが、今では十億分の一秒のサンプリングも可能になった。これを使えばいろいろ面白い世界が見えてきそうな気がしてい。

1998年(平成10年)1月21日 水曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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