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コラム
重さを量る

第8回:早業
 工業生産の現場で、清涼飲料水など液体を詰める時には、毎分700本以上を正確に量ることを求められることがある。私たちの製品の一つは、ターンテーブルに重量計を70個並べているので、一個の重量計でいえば毎分10本、つまり6秒で一回量っていることになる。

 かなりゆっくりしているようだが、実はそうではない。一本の容量が500gで誤差0.2g以下が求められる場合は、均等に注ぐとすると1000分の2.4秒で許容誤差量が注ぎ込まれてしまうからだ。だんだん重くなるのを監視していて、「ここだ」となった時に1000分の2.4秒内で注入を止めなければならない。

 実際には均等に注ぎ込むようなことはしない。人がビールを注ぐ時と同じである。最初はドッと入れて、設定された量に近づくとバルブを絞り、重さの変化を見ながらピタリと止める。だから、時間は先に述べたよりもやや楽ではあるが、それでもかなりの早業が必要だ。コンピュータが最初のドクドクから最後のスーッまでの時間を学習しながら、できる限り短縮していくのである。

 余談だが、ビールのように泡立つものは、上からドッと注ぐと泡を食うことになる。びんの底まで差し込んだ管から入れ、液面上昇にあわせて管を引き上げるのである。

1998年(平成10年)1月23日 金曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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