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第15回:引き算
産院では授乳の前後に赤ちゃんの体重を量る。その差からどれぐらい乳を飲んだかがわかる。この場合は1000分の1の精度のばねばかりで間に合う。同じように体重変化を調べるために、ベッドに重量センサを取り付けたベッドスケールというものがある。腎臓病で人工透析を受けている人のために開発された。
透析は4〜5時間かけて血液をろ過し、老廃物を取り除く。透析が進むにつれて、除去された老廃物の分だけ体重は軽くなっていく。それを読みとって、透析が完了したかどうかを見分ける。ベッドと患者の体重を合わせると200kgぐらい。老廃物は3〜4kgだ。これをとらえるのに5000分の1くらいの精度の体重計が使われている。
もっと精度が要求されるものに、工場から出る自動車の重さを量るものがある。新車の付属品は多い。スペアタイヤ、工具、非常用発煙筒など。置かれる場所も車内のあちこちに分散している。装備忘れの発見は難しい。
出荷時に重さを量って規定量に足りなければ何かを忘れていることになる。約2tの車体に対して500gの付属品の不足を量るので、精度10000分の1は必要になる。付属品の重さはまちまちなので、実は「何かが足りない」ではなくて「これが足りない」までわかるのである。
| 1998年(平成10年)2月13日 金曜日 朝日新聞夕刊 掲載 |
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