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第17回:風で浮かぶ
パソコンの主要な外部記憶装置のハードディスクは、円盤に磁気記録膜を塗ったものだ。磁気ヘッドでデータを書き込んだり、読み出したりする。最初に登場した時は直径30cm以上あったが、現在のパソコン用は2.5インチ型でコンパクトディスク(CD)の約半分。それでいて記憶容量は飛躍的に大きくなっている。
これを実現するために記録膜も非常に薄くなっている。フロッピーディスクのようにヘッドを接触させて読み取るわけにはいかない。ディスク静止時には接触していて、回転が始まると、それが引き起こす風で浮力を得て、浮かび上がる。ディスクとヘッドのすき間はわずか十万分の数ミリ以下で、これを正確に保たねばならない。ヘッドの大きさをジャンボジェット機に置き換えて考えると、地上数ミリを飛行しているようなものだ。
ヘッドを支えるサスペンションは金属の板ばねだが、弱い風で浮かび、しかも浮き過ぎもしないものを作るのは難しい。この微妙な作業を助け、どの製品にも同一の張力を持たせるのに使われるのが、鋭敏な重力計(ロードセル)である。根本を固定したサスペンションの先端に、ロードセルで一定の力を加え、しなりぐあいから張力を量る。量りながら目的の張力になるように、レーザー光線を当てて熱処理している。
| 1998年(平成10年)2月18日 水曜日 朝日新聞夕刊 掲載 |
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