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コラム
重さを量る

第19回:衝突実験
 自動車メーカーは、かつては衝突実験をなるべく外部の目に触れないようにしていた。今では安全性の宣伝のためにテレビのコマーシャルでも流すようになった。時代の変化を感じる。この実験で車がぶつかるバリヤと呼ばれる壁には、重量計(ロードセル)が取り付けられていて、これをセンサとして衝突時の衝撃力を刻々測定している。

 最近の車は衝撃吸収ボディといって、衝突すると車体の前部がゆっくりと壊れていくようにしてある。これが内部の人にかかる衝撃力を小さくしている。センサがとらえる数値は、時間の経過とともになだらかな丘のようなカーブを描く。車体をできるだけ頑丈にした昔の車では、ぶつかった直後にピークが来て、すぐにすとんと落ちる。車体の重量と衝突時の速度が同じなら、このカーブで囲まれる面積は、どちらの場合も同じになる。

 ただし、それは衝撃力が一点に集中した場合の理論上の話で、実際には衝撃力は面にかかる。その全体をなるべく忠実に把握できるように、センサは約50個ある。各センサがとらえた衝撃力の変化と車の壊れ方を対照してみれば、車の構造のよしあしが見えてくる。衝突実験のそもそもの目的は人間の安全なのだが、車を軽くして燃費を向上させることにも貢献するようになった。

1998年(平成10年)2月23日 月曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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