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コラム
重さを量る

第20回:急がば回れ
 液体や粉末の商品の生産の際には風袋、つまり入れ物ごと重さを量っている。粉ミルクは缶の中に計量用のスプーンも入っている。缶もスプーンも同じように見えるが、重さには当然ばらつきがある。粉ミルクは缶などに比べて非常に軽いので、缶やスプーンの重さのちょっとした違いが、粉ミルクの量に大きく影響してくる。風袋のばらつきをキャンセルするよう工夫しなければならない。

 製造ラインには三つのはかりを並べておく。第一のはかりで、缶とスプーンの重さを正確に量り、そのデータを第二のはかりに伝える。第二のはかりに缶が載った時に、規定量の7割ぐらいの粉ミルクを落とし込み、その重さを正確に量る。その情報は第三のはかりに伝えられ、ここで粉ミルクが規定量ぴったりになるように入れるのである。

 一回きりの計量で正確に量りきろうとしないのは、高速化のためである。第一のはかりは変化しない風袋を量るのだから時間は大してかからない。第二では、正確に7割になるように制御する必要はなく、結果としていくらになったかを見るだけだから、ここでも時間はさほどかからない。第三では、受け取った情報から割り出された残りの必要量を正確に量ることになるが、量が少ないので、時間は短縮される。急がば回れというわけである。

1998年(平成10年)2月25日 水曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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