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コラム
重さを量る

第24回:ししおどし
 静かな日本庭園でどこからかコーンという「ししおどし」の澄んだ音が聞こえてくるのはいいものだ。一本の軸に支えられた竹筒の片方に水がたまると、傾いて排出する。これと同じ仕組みが気象観測用の雨量計にも用いられている。転倒升雨量計である。

 同じ大きさの二つの升が並んでいて、シーソーのように片方が下がると他方が上がる。上になっている升に、雨を受けるじょうごから水が入ってくる。いっぱいになると重みで下がり、水は流れ出る。と同時に他方の升が上がり雨水を受け始める。この転倒升の振れを電気接点のオン、オフ回数で数えて雨量が出る。

  雨受けのじょうごは口が直径20cmの円形。これで最小雨量は毎時0.5mmまで観測できる。最大の方はどうか。一個の升の容積は15.7ml。気象庁によると10分間雨量で観測史上最大は1946年に四国の足摺岬で降った49mmだった。当時から転倒升があったとして計算してみると、一個の升の容積が15.7mlなので約6秒間に一回の割合でカタカタやっていたはずだ。

  かつては人が一定時間ごとに貯水升を取り出して目で目盛りを読むしかなかった。転倒升は完全に無人で動作するので、どんな辺境にも設置できるようになり、観測が非常にきめ細かくできるようになった。
1998年(平成10年)3月6日 金曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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