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第29回:う回で調節
長い布や紙を筒にきれいに巻くのはかなり難しい。ましてや、食品包装用のラップフイルムは非常に薄い上に、長さは30mとか50mもある。ほんのわずかな巻きむらがあっても、見る角度によって変化するしま模様、モアレと呼ばれるものが現れる。これでは商品にならない。
ラップの製造工場では、直径が1m以上もある長尺のロールから、商品の形に小分けしている。ここではラップを引っ張る力を正確にコントロールしなければならない。これがなかなかやっかいだ。
今ではあまり見かけなくなったが、映画の映写機を思い出してほしい。送り出しと巻き取りのリールの間にさまざまなローラーがあって、フイルムは行きつ戻りつの複雑な経路をたどる。その理由はフイルムを一定速度でスムーズに流すために、フイルムにかかる張力を加減しているのだ。
ラップの場合も基本は同じ。テンションローラーという、ばねで支えられたローラーを経由することで遠回りさせている。ラップの張力が強くなれば、ローラーが引き寄せられてう回距離が短くなる。緩むとその逆で長くなる。張力変動をローラーの経由部分の長さが変わることで吸収している。送り出しや巻き取り側の回転速度管理はそれだけ楽になる。
| 1998年(平成10年)3月20日 金曜日 朝日新聞夕刊 掲載 |
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