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第30回:ロボットの腕
片手でコーヒーカップごと受け皿を持ち上げ、ついで取っ手をもって飲む。人間は無意識にやってのける行為も、機械にやらせるとなるとやっかいだ。
自分の手がどういう状態にあるかを認識させる方法に、画像を使うやり方がある。これは目線がどこにあるかで、状況の判断が難しくなることがある。
画像に代えて、腕に取り付けた力を量るセンサで認識しようという研究が行われている。上下左右と奥行きの3つの方向に働くそれぞれの力の大きさと、この3軸の回りに回転させるように働く力のモーメントの、合計6個の数字から、コーヒーカップの取っ手をつかんでいるのか、それともカップ本体をにぎっているのかといったことまで、割り出せるのだ。
このセンサは、金属の塊を複雑な形にくりぬいて、金属がひずむ量を電気的に測定するストレインゲージをあちこちにはり付けたものだ。多分力センサと呼ばれており、専門メーカー日章電機の社長さんが発明したものだ。一つの金属塊なので、6つの成分を完全に独立して測定できず、相互に影響し合う。私たちはその相互干渉をコンピュータでキャンセルさせる方法を開発した。
ヘリコプターのローターや、四輪駆動車の車軸にかかる力の測定、養護機器の開発などではすでに活躍中だ。
| 1998年(平成10年)3月23日 月曜日 朝日新聞夕刊 掲載 |
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