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コラム
重さを量る

第31回:かみ心地
 キャラメルやチョコレートでは味もさることながら、かみ心地も売り上げを大きく左右する。さまざまな原材料を練り合わせて固めるのだが、ロットが違っても出来ぐあいを一定に保たねばならない。かつては熟練者が長年かけて磨いたカンで加減していた。

 職人気質に支えられていた産業では、どの分野でもそうなのだが、後継者が育たない。その一方で、定年制が熟練者にもそうでない人にも公平に、ということは容赦なく適用されるようになってきた。機械でかみ心地を定量的に測定することが求められる。

 まず、練り合わせる時に羽のついた棒を使い、これにかかる抵抗力で練り具合を知る。ついで、練り上がったものに棒を突き刺してから、一定速度で引き上げて、それに要する力から出来ぐあいを知る。
 引き上げには引っ張り試験器を使う。もともとは含まれる炭素量などで大きく性質を変える鉄などを試験するものだ。昔は刻々と変わる荷重と伸びとを自動ペンで紙に記録し、あとでその線を物差しで測っていた。今ではここでもコンピュータが活躍している。

 一見は複雑に見える現象でも、基礎的な物理法則の組み合わせで解きほぐし、エレクトロニクスを駆使して、高速化、精密化するのが、「重さを量る」ことの基本だと考えている。


(おわり)

1998年(平成10年)3月25日 水曜日 朝日新聞夕刊 掲載

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