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第1回:ゴルフのスイング
あなたは何型でしょうか? よくある血液型の話ではありません。ゴルフのスイングの話です。
一般的に、上級者は堅いシャフトが合い、アベレージには柔らかいシャフトが合うと言われています。これは、個人の技術レベルの上達にしたがってスイングパターンが変化し、それに応じたシャフトを選択しましょうという考え方からきているものでした。ところが、日本の代表的なシャフトメーカーである日本シャフトの池田正和社長が、約10年間にわたって3000人にも上るプロ・アマのスイングを調査・研究した結果、すべてのゴルファーはヘッドスピードやハンディキャップに関わらず、スイングの特徴が四つのパターンに分類できるということをつきとめました。それだけではなく、ゴルフのレベルが上がったとしても、一度身についたスイングパターンは変化しません。つまりスイングパターンはその人の指紋のようなものだと言えます。
スイングパターンの計測は、専用のスイングアナライザを使用します。ボール付近に設置する音センサからの信号が計測終了のトリガ(プリトリガ)となります。スイングアナライザはヘッドがボールをとらえる瞬間まで連続して計測を行っており、インパクト音が出た時点でその直前の一定区間のデータを正式な計測データとして記録する仕組みです。光センサはヘッドが2点間を通過する時間を計測し、その時間から正確なヘッドスピードを算出します。力の計測はシャフトに貼り付けたストレインゲージ(応力計)で行います。ストレインゲージからは微小な電気信号しか得られませんので、まずはスイングアナライザのヘッドアンプで正確に、しかも余分なノイズ成分は上手にフィルタリングして増幅します。増幅された信号をA/D変換器で高速にアナログ・デジタル変換した後、CPUで演算処理を施し、力と時間の波形データとして画面にグラフィック表示するわけです。この計測結果が蓄積されたデータベースと照合され、スイングが四つのパターンのいずれかに分類されます。得られた解析結果には、名前や日付、正確なヘッドスピードなどとともに、推奨されるシャフトの種類を印字して出力します。
スイングアナライザは、ボールを打つ瞬間のプレイヤーから見て、シャフトの上下(垂直方向)のしなりと左右(水平方向)のしなり、それにねじれ(トルク)の三つのデータから図形を描き、スイングパターンの解析を行います。意識的にスイングを変えてみても、力の強弱は変わりますが出てくるパターンは変わりません。分析されるパターンは、I / P / D / J の四つです。皆さん興味がおありでしょうから、各パターンの特徴を簡単に説明します。
<Iタイプ>
スイングの傾向: リストターン、ドロー系ヒッターが多く、クラブの反動を利用したスイング
ゴルフの特徴: フックグリップの方に多い(主に左手)/手と体の動作がインパクトで同時のタイミングになる傾向がある/トップからインパクトにかけてリストターンを多用する傾向がある/ 比較的水平なインパクトをする
<Pタイプ>
スイングの傾向: リストターン、ドロー系ヒッターが多く、体の回転を利用したスイング
ゴルフの特徴: フックグリップの方がやや多い(主に左手)/ゆっくりしたテイクバックで比較的トップのタメが大きい/トップからインパクトにかけてリストターンを多用する傾向がある/比較的水平なインパクトをする
<Dタイプ>
スイングの傾向: リストターンの少ない、フェード系ヒッターが多く、体の回転を利用したスイング
ゴルフの特徴: スクエアなグリップの方が多い/ゆっくりしたテイクバックで比較的トップのタメが大きい ノーコック、ノーリリースタイプ/比較的アップライトなスイングで上下動が出やすい/ハードヒッタータイプが多い
<Jタイプ>
スイングの傾向: ノーリストターン、フェード系ヒッターが多く、クラブの回転を利用したスイング
ゴルフの特徴: スクエアなグリップの方がやや多い/クラブの反動を利用してテイクバックしスイングする コック、ディレイリリースタイプ/かなりアップライトなスイングで上下動が出やすい/スイング時間が短くパンチショットタイプが多い
シャフトの計測としては、上下左右に加えてトルクにも注目しているなど、いくつかの目新しい点がありますが、電子計測器の技術的には決して最新のテクノロジーとは言えません。どちらかといえば枯れた技術の組み合わせといえるでしょう。しかしながらその枯れた技術の中には、ゲージを貼る位置や貼り方に関するノウハウがありますし、ゲージからの微小な電気信号を高精度に測定するための電子回路的な知恵があります。こういった既知の技術をうまく組み合わせることによって、多くの方に喜んでいただける電子機器を、早く、適価で、安定に供給することができます。
さらに、このシステムの最も大きな特徴は、スイングのタイプを計測するだけではなく、計測した結果を過去に計測したデータベースと比較して、各ゴルファーに最も適したシャフトを提供することができるという点にあります。やもすると我々計測器メーカーは、はかることに重点を置きすぎるあまり、計測の目的を忘れがちです。計測の最大の目的は、計測結果を元にして現象の解析を行うことであり、はかること自体は現象解析の手段の一つでしかないことを忘れてはならないと思います。もちろん正確な計測がなければ正確な解析もあり得ません。この両者をバランスよく製品に盛り込み、ユーザーの問題解決を手助けすることが我々の使命であり、お客様が私たちに期待していることだと考えています。
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