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●はじめに

共同配送(以下共配と記述)という言葉を耳にする機会が増えてきた。共配とは、メーカーや卸売業者が取り扱う商品を一カ所に集めて、店別・売場別に仕分けをし、各店舗に一括配送するシステムをいう。共配のメリットは、取引先での仕分け作業の省力化、各店舗での検品および陳列作業の簡素化、配送車両の台数の減少による環境問題への対応、そして欠品の防止などが上げられる。ここでは、この共配システムを全国で展開している株式会社花王システム物流の運営するセンターへ導入した「カート・マネージメント・システム(=CMS)」の実例を紹介する。

●導入にあたって

このセンターでは、約30社のメーカーや卸から納品された商品を配送先チェーン店の陳列(例えばシャンプーとリンス、使い捨てカイロと風呂用洗剤など品目は違っても陳列位置が近い商品群)にあわせてピッキングするカテゴリー別仕分けを行う。更にチェーン店での検品作業を省略するため、このカテゴリー仕分け時のオリコンまたがりを含めて、誤差率1/100,000以下を厳守する必要があった。これらの条件をクリアーするためには、実際の仕分け作業において、作業者が実施できなくなるような作業項目は徹底的に排除する必要があった。例えば、バーコードリーダーによる商品の全数スキャンや、個数入力などの作業である。前者は読みにくいコードの商品があると、全数スキャンせずに読める商品を何度もスキャンさせることがあるし、後者は入力数を間違えるおそれがある。このような実施ベースでの検討を重ねた結果、仕分け作業時のミスを激減し、ローコスト・高精度・省スペースなどの特徴を持つCMSが完成した。

●ローコスト

カートマネージメントシステムは、あらゆる角度からローコストに対する配慮を行い、物流センター建設費、運営費などを複合し従来型システムと比較して約1/3程度にまでダウンさせることに成功した。コストダウンの大きな要因となっているのは、仮想間口機能による初期導入費用の削減、導入後のメンテナンスフリーによる運営費の削減、リアルタイムの作業者能力管理機能による作業効率の向上などである。
| (1) |
仮想間口機能 あらかじめ設置してある間口以上の間口が必要になった場合に、仮想的に間口を設置できる機能である。一時的に作業が増える場合には、この仮想間口機能を使うことで、平均的な作業量にあわせた設備導入ができ、初期導入費用の削減ができる。
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| (2) |
メンテナンスフリー フリーホイールやフリーローラーを使用した前処理部や、耐久性の高いカート、シンプルな機構の間口・シャッターなど、設備機器類はほぼメンテナンスフリーである。
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| (3) |
作業者能力管理機能 仕分け作業中の作業者の能力をリアルタイムに管理することができるため、達成意識の向上に働きかけた労働時間短縮、ひいては維持運営費の削減に貢献できる。また、休憩ボタンや自由な作業選択(追い越し)機能による積極的な操作感を持たせ、単に機械に使われているだけではないという意識を与えている。 |

・高精度

作業者の手作業による多品種少量仕分けにおいて1/100,000(10万個仕分けして1個以下の誤差率)を実現できるように、インテリジェントカートおよびシステムそのものにさまざまな工夫を凝らしている。
| (1) |
対話型システム マスタ登録やロケーションと商品のひも付けなど、作業が発生するときには必ずシステムからの問いかけとそれに対する作業者のアクション、およびその作業が正しく遂行されたかの確認が行われる。これによってうっかりミスを未然に防いでいる。
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| (2) |
完全検知制御 カートが正しい間口に到着したか、取り出した商品個数は正しいかなど、ミスが予測される部分では、システムが赤外線通信や高精度計数はかり、バーコード計数などを使って確認している。さらに正しい間口に到着したときのみ開くスイングシャッターなど、作業者の行動が正しいことをはっきりと示す機構にも工夫を凝らし、作業者のストレスの軽減にも考慮している。 |

このシステムにより、初めて操作する作業者でもすぐに作業にかかることができ、作業効率こそ熟練作業者に劣るもののミスをおこすことなく仕分けを行うことができた。
・省スペース シンプルな構造の間口により、建屋形状に関係なく取引先数に応じて設備の拡張・縮小を行うことができる。間口はわずかな空きスペースがあれば充分設置でき、設置後すぐに運営することができる。

・インテリジェントカートの優れた操作性

応用人間工学を駆使して設計されたインテリジェントカートは、作業者にストレスを与えないこと、および作業者の潜在能力を充分引き出すことを目的に設計されている。作業者の身長にあわせて位置を変えられるハンドルや軽く引き回しやすい車輪配置、商品を出し入れしやすいロケーション配置などの扱いやすいカタチはもちろん、SS無線通信によって常にホストと
LAN接続されているので、作業者にリアルタイムに指示を出すことができ、的確なタイミングで必要な情報を作業者に与えることによるレスポンスの良さを実現させている。
 ・管理しやすいマネジメント機能

CMSは、管理者に対しても充分な情報を提供し、作業者のスキルアップや作業効率向上に役立てることができる。
| (1) |
リアルタイムの実績管理 作業ごとの実績管理をリアルタイムで把握することができるため、作業予定数と進捗の具合を正確に把握しながら作業を管理することができる。ミス仕分けもリアルタイムでわかるので、早い段階での追跡調査・修正作業ができる。
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簡単なマスタ作成 入荷検品作業がそのままマスタ登録作業になっているため、一工程分の作業を減らすことができる。作業者にとってはこれまでの検品作業と同じ手順でマスタ登録ができるので、新しい作業を修得する必要がない。マスタ登録はバーコードおよび重量の二段階でチェックをかけ、誤ったマスタを作成する可能性を極めて少なくしている。
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| (3) |
柔軟な間口割付 仕分け量の多い間口と少ない間口をシステムがバランスよく自動配置してくれるので、作業の渋滞が起こりにくく円滑に仕分けを行うことができる。 |

・おわりに

このシステムが稼働している現場では、これまで誤り率0%という驚異的な仕分け精度を誇っている。このセンターの荷姿は非常に美しく、コンビニエンスストアなど直接棚に陳列するような販売店に非常に好評である。CMSはこれからの少量多品種仕分けの一つのモデルになり得ると考えている。

<日工フォーラム1999年7月号掲載> ※この記事は2003年1月30日に修正いたしました。 |
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