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コラム
ハイブリッドセンサ・データロガー UL120
1.はじめに

 データロガーには大きく分類して二つの種類がある。一つはある特定の現象だけを記録できるように設計された専用データロガー。そしてもう一つはさまざまな現象を記録できるように設計された汎用データロガーだ。専用データロガーには、自動車製造用や農事用、食品管理用、空調用、気象用、地震観測用などがあり、産業/研究を問わずいろいろな分野で使用されている。これらのデータロガーは主たる使用目的にあわせて実によく設計されており、設定なども比較的に簡単に行えるというメリットがある。しかし目的の現象に対して専用性を持たせているあまり、たとえば「温度を計測しながらモーターの回転数を記録したい」「圧力が規定値以上になったときの微少変位量が知りたい」など、複数の物理現象を扱うときには不便なこともある。

2.汎用データロガー

 専用データロガーで複数の物理現象を扱うときには、それぞれの分野のロガーを別々に設置し、記録したデータを付け合わせることで対処するしかない。この場合の問題点は各データの時系列の一致が難しいことである。時系列の一致が問題になるような計測では汎用データロガーを使用した方がよい。汎用データロガーは一般的に電圧信号を入力できるように設計されているので、配線や設定次第では複数の物理現象を同時に記録できる。ただし、物理量を検出するセンサは供給電圧や出力電圧がまちまちなため、複数のセンサを同時に接続できるようにデータロガーを設計することは電子回路的な無駄が多く、小型化、軽量化、ローコスト化に対して不利な条件となる。多くのセンサを同時に接続しようとすると、必然的に大型で高価なデータロガーを選択せざるを得なくなり、導入に踏み切れないケースもあるかもしれない。こういった複数の物理現象を同時に記録したいというニーズに対し、ユニパルスがユニークな発想の電子回路を採用することにより安価なハイブリッドセンサ・データロガーを開発したので紹介する。

3.ユニークな差動入力方式の採用

 複数の物理量を扱うときに最もやっかいなのが、圧力・荷重などの力計測や、熱電対・測温抵抗体などの温度計測である。これらはセンサからの出力が小さくしかも外気温など環境による変動が大きいため、高価な差動入力アンプを必要としていた。そこで、電子回路上は簡単で応用範囲の広いシングルエンド入力アンプだけを装備し、差動入力センサに対してはシングルエンド入力を2ch使用してソフトウエア的に演算を施すことにより、あたかも差動入力アンプを搭載しているような処理をすることに成功したのがハイブリッドセンサ・データロガーUL120である疑似差動入力の初段アンプには低いゲインしか持たせておらず、ノイズ成分を増幅することによる精度の低下を防いでいる。このユニークな差動入力方式の採用により、次のようなメリットが生まれた。

センサの種類を問わず、差動入力8ch(シングルエンド入力16ch)が同時に接続できる
差動入力型センサとシングルエンド入力型センサを同時に記録できる
差動入力とシングルエンド入力の端子を共通化しているので、本体を小型、軽量、安価にできる

4.ハイブリッドセンサへの対応

 物理量を計測する機器にはパルス出力するものが数多くある。風速計、雨量計、回転計などがその代表であるが、これらの機器からの出力を記録するために、UL120にはパルスカウント入力が装備されている。このカウンタは、一定時間内に入力されたパルス数を積算したり、その値から周波数を演算したりできる。また、ACモードという機能により、正方向の正弦波をパルスと見なしてカウントすることもできる。  駆動電源を必要とするセンサのために電圧供給回路があり、ACまたはDC電源を6chまで供給することができる。電圧は最大で12Vまでで、センサにあわせた電圧に設定できる。センサが増えてくると電源の確保にも苦労するので、この辺の細やかな配慮も計測の現場ではうれしいところだ。

5.パソコンとの優れた親和性

 データロガーを扱う人の一番の目的は、収録したデータを基にしてすみやかに現象の解析を行うことであろう。そのためには、簡単にデータをパソコンへとダンプできること、また、ダンプしたデータを解析しやすい形式にコンバートできることが重要なポイントとなる。UL120は記憶媒体にMS-DOSフォーマットされたATA-FLASHメモリカード(PCMCIA R2.1 / JEIDA Ver4.2準拠品)を使用しているので、DOS/V系PCでもMacintoshでもカードスロットさえあれば容易にマウントできる。記録データはCSVフォーマットのテキストファイルとしてメモリカードに書き込まれるので、EXCELやLOTUS1-2-3などの表計算ソフトでそのまま利用できるし、加工が必要な場合でも速やかに対処できる。さらにRS-232Cインターフェイスを備えているので、UL120が遠隔地にあるときでもモデムを経由して収録データをパソコンへと転送することができる。

6.広がるアプリケーション

 UL120がユニークな差動入力方式を採用できたのは、ユニパルスがこれまでロードセル用の差動アンプをはじめとする産業/研究用のあらゆるアンプ類を設計・製造してきたからである。厳しい現場環境の中で差動アンプの精度を維持するには高度な電子回路技術を要する。これら電子回路のノウハウをそのままソフトウエアに移植することで、高精度な計測が可能になったといえる。
<日工フォーラム1998年12月号掲載>

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